専門分野は文化人類学(アフリカの民族誌的研究)。 1994年以来、エチオピア南部のオロモ語系ボラナにおいて現地調査を行ってきた。現在までの主な研究テーマは、年齢体系と儀礼、近代エチオピアにおける周縁民族の社会変化である。
テレビにアフリカのどこかの村が映し出される。錆びたトタン屋根の一軒の家屋。暗い部屋のなかに顔色の悪い痩せた若い女性が病気で臥せっている。村人によれば、彼女の病は邪悪な霊が悪さをしているからだという。やがて「伝統的」な治療師が連れてこられ、何やら呪文のようなものを唱え、病人を煙で燻したり何だか分からない液体を降りかけたりしている。さて、これを見てあなたはどのように思うか。
病気は病院に連れて行かなくてはならない。彼らがこうした「迷信」に頼っているのは、「近代的」な医療や教育が普及していないためだ。「近代化」されれば、こうした「迷信」から彼らは脱却できるのに。ところが、「伝統的」な治療師は町に立派なオフィスを構え、携帯電話で病気の相談を受け車を運転して治療に行くと聞けば、どうでしょう。
そもそも、「近代化」している日本も「御守り」「御祓い」「お参り」「占い」「祟り」「前世」「霊感」「血液型」「スピリチュアリティ」という「迷信」に満ちています。熱中するにせよ冷笑するにせよ、信じるにせよ信じないにせよ、テレビに繰り返し現れるそれらには、人びとをとらえて離さない何かがあるのかもしれません。
この授業では、こうした「宗教」的とされる様々な行為を、人類学的な観点から、わたしたちの日常的な思考と実践のなかで理解していきます。
文化人類学の観点からヒトと動物の関係について検討します。
北東アフリカの牧畜民社会の民族誌の検討を行い、今後の牧畜民研究の可能性を探ります。
大きなテーマは文化的な他者の理解になりますが、それは自分の拠り所とするものの考え方を問い直すことです。社会や文化の多様なあり方を文化人類学の観点から学習することを目的とし、民族誌や人類学の理論的な文献を読んでいきます。毎週、担当者が自分の分担の論文を発表します。