近現代フランスの哲学・思想を、特に「精神分析」の理論・実践との関係に注目しながら研究しています。精神分析は、19-20世紀の転換期にヨーロッパで誕生した精神療法の技法ですが、そこに込められた人間思想には、ヨーロッパの近代化にはらまれる様々な問題が反映されており、そのため今日まで広い分野の哲学・思想に大きな影響を与えてきました。そんな精神分析を中心とする思想史が研究対象です。
私たち人間の生の条件には、独りだけでは生きていくことができない、そんな「よるべなさ」が深く埋め込まれています。だからこそ、自分のものと異なる価値、文化、そして生命について改めて思考し、私たちが共に生きる仕方を考え抜くことは重要でしょう。この講義では、様々な哲学者・思想家の考えや、また歴史の具体的事例を参考にして、共生という問題に哲学的にアプローチしていきます。
私たちがいま当然のように享受しているこの生活。しかし歴史を遡ってみれば、これを成り立たせている「考え」や「常識」にはさまざまな紆余曲折があり、それまで見えていなかったさまざまな問題が隠れていることを発見するでしょう。
この講義では、こうした歴史的視座から、特に近代ヨーロッパから現代世界を繋ぐ社会・文化・思想を検討します。
フランスの精神分析家ジャック・ラカンを筆頭に、1950年代以降、構造主義・ポスト構造主義としてまとめられる思想潮流に属する哲学者・思想家の考えについて読解・検討します。