研究/教員紹介

教員と専門分野一覧

■氏名
柿木 伸之
ライン
■職名
准教授
ライン
■専門分野
哲学
ライン

近・現代ドイツの哲学および美学を専門領域としています。現在、20世紀の前半に批評家などとしても活躍した思想家ヴァルター・ベンヤミンの言語哲学と歴史哲学を中心に研究しています。現在の状況を見据えながら、言葉を語る、過去の出来事を記憶するといった私たちの基本的な生の営みのうちに、他者に応答する可能性を探っていきたいと考えて研究を進めています。音楽や美術などの芸術の可能性にもつねに関心を抱いています。

主たる担当授業科目

共生の哲学機Ν 「グローバリゼーション」と呼ばれる動きが進展する中、自分とは異質な他者と共に生き、共に社会を築くことが差し迫った課題となっています。私たちが自らの可能性を見通すためにはまず、そもそも「共生」とは何か、と問うべきでしょう。共に生きること自体を哲学的に問うことによって、他人の語る「共生」に踊らされることなく、自分自身が他者と共に生きていく道筋を探っていきましょう。

現代思想機並膤惘ー業科目) 哲学者の思想を、現代世界における生を照射するものとして解釈する方途を探ります。

現代思想供並膤惘ー業科目) 哲学の根本問題を検討しながら、現代世界における他者との共生の道筋を探究します。

ゼミ

私のゼミは基本的には、思想的な、あるいは思想的な内容を含んだ著作を受講者と相談して選んで、それを少しずつ読み進めながら、そこで扱われている思想的な問題について討論する、という形態で進められています。現在取り組んでいる問題に関連する映画作品などに実際に接し、それについて論じ合うこともありますし、フィールド・ワークに出かけることもあります。思想的な奥行きをもった著作をみずから手に取って、読み解くことができる力を養成すること、自分が直面している問題について、「当たり前」とされていることに押し流されることなく徹底的に考え、考えた内容を公に表現できる力を育成することがゼミの目的です。これまで、カント、ニーチェ、ベンヤミン、フーコー、サイードらの著作に取り組んできました。前期と後期の終わりには、大学院生と学部生合同の研究報告会も開催しています。

地域貢献活動の紹介

2003年より、ひろしまオペラ・音楽推進委員会委員として、広島の音楽文化の質的な発展へ向けて活動を続けています。ひろしまオペラルネッサンス公演や現代音楽の演奏会シリーズHiroshima Happy New Earのお手伝いをしています。プログラムに解説を寄稿したり、トーク・セッションの進行役を務めたり、歌詞対訳や字幕を監修したりしています。また、2007年から2016年までは、ヒロシマ平和映画祭の実行委員として、映画上映会の開催にも取り組んできました。ガイドブックに映画作品の解説を寄稿したり、広島市立大学での上映会を開催したりしてきました。

2011年1月末から2月上旬にかけては、ヒロシマ平和映画祭実行委員会との社会連携プロジェクト研究事業として、「表現の臨界点(Critical Point)──広島の現在と赤狩り、安保、沖縄」というテーマの下、表現をめぐる広島の現在を、世界的かつ歴史的な視野で捉え返すとともに、抵抗としての文化の可能性を掘り起こす映画上映会やシンポジウムを、広島市立大学を含む広島市内の各施設で開催しました。

著書

著書 出版年 出版社
共生を哲学する──他者と共に生きるために 共生を哲学する──他者と共に生きるために 2010年 ひろしま女性学研究所

広島市立大学国際学部の専門科目として開講している「共生の哲学」のために書き下ろしたノートを下敷きに、それに手を加えた原稿を一書にまとめたもの。講義の受講者のみならず、「共生」ということをもう一歩踏み込んで考えてみたいと思う一般の読者にも向けて、共生をめぐる哲学への入門書として書かれている。本書の議論は、共生を哲学していくうえで取り組まなければならないと思われるテーマを挙げ、それに関するおもに現代の思想家たちの思想をコンパクトに、かつ可能なかぎり平易に紹介するかたちで進められていく。それをつうじて、共生を他者と共に生きることと捉え返し、今も私たちのあいだにある支配と被支配の関係やそれにまつわる暴力──構造的なものも含めた暴力──を乗り越えて、他者と自分が呼応し合い、それぞれの自己を自他の響き合いのなかで生成させていく関係を模索し、最終的には他者と共に生きることのうちに新たな平和の可能性を見届けようとする「共生」へのアプローチを提示する。

著書 出版年 出版社
ベンヤミンの言語哲学──翻訳としての言語、想起からの歴史 ベンヤミンの言語哲学──翻訳としての言語、想起からの歴史 2014年 平凡社

本書は、言語の本質を探究するヴァルター・ベンヤミンの哲学的思考を、彼が生涯の節目ごとに著作のうちに描き出した天使の像に結晶するものと捉えつつ、そのような思考を、初期の言語論「言語一般および人間の言語について」から、遺稿となった最晩年の「歴史の概念について」に至るまで貫かれる思考として読み解き、ベンヤミンの思考を独特の言語哲学として描き出そうと試みるものである。言葉を発すること自体を「翻訳」と考えるベンヤミンの着想に注目しつつ、それが深化される過程を辿ることによって、言語そのものが、共約不可能な他者と呼応し合う回路を切り開く力を発揮しうることを示す。さらに、過去の出来事を一つひとつ想起する経験のなかから、神話としての「歴史」による抑圧を乗り越えて新たに歴史を語る可能性をも、言語そのものから引き出そうとする。

著書 出版年 出版社
パット剥ギトッテシマッタ後の世界へ――ヒロシマを想起する思考 パット剝ギトッテシマッタ後の世界へ――ヒロシマを想起する思考 2015年 インパクト出版会

今ここでヒロシマを想起しながら、死者を含めた他者とともに生きることとして平和を捉え直すことを基本モティーフとして、広島の地で2007年から2015年にかけて書き継がれた評論や論考、講演録の集成。第1部には、想起の媒体としての芸術、さらには言葉の可能性を探る評論や講演をまとめ、第2部には、ヒロシマ平和映画祭などの場での講演の記録などを収める。第3部には、書評を中心とした評論を、そして第4部には、被爆の記憶を継承することにもとづいて平和の新たな概念を追求する論考を収録する。


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